花は誰がため

詞・曲:頭慢

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず

あなたも私も偶然に
この世界に今生きてる
水や空気が与えられ
バランスの良い重力とエネルギーと

都合の良すぎる物理法則は
まるで人が生きてるためにあるけど

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず
太陽は人のため 暖かからず
鳥は人のため 歌わず

あなたと私がここで出会って
この世界で過ごす時間は
100億年の宇宙の歴史で
まるで奇跡のような時間だけれど

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず
太陽は人のため 暖かからず
鳥は人のため 歌わず

だけど今海に来て
波と鳥の声を聞いて
空と雲の下で風に吹かれて
自分の意識が自然の中に溶け込んだ時

花は私のため 美しく
海は私のため 豊かで
太陽は私のため 暖かく
鳥は私のため 歌う

 

朝、海に来て海を見る

詞・曲:頭慢

忘れ物をしたら 取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのことです

ここは圏外 誰もいない海に来て
海を見てるひとり名前のついた街を離れ
ひとはいつか 忘れ物をしたことも忘れ
そこにあったものだけでプリコラージュして生きる

それでも忘れものをした思いは消えない
だからいつか取りに戻ろう

忘れものをしたら取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

昔のこと 初めて海を見た
その人は躊躇なく靴を脱ぎ裸足になったね
風はない だけど形をかえる雲
形のないものになる青い空の向こうで

戻り道の途中で命尽きたとしても
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

全ての人が死滅したときうっかりと
生き残ってしまったときのシミュレーション

忘れものをしたら取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

詞:石垣隆・曲:頭慢

時を追い散らせ 時を追い散らせ
時を追い散らせ 眠りの外に追い散らせ
人の心を拒み続け 傷を抱えのたうちまわり
割れた爪みつめ悶え泣く 今の惰性をを捨てきれず

逃げる仲間を追いもせず 膝をみつめて何思う

時を追い散らせ 時を追い散らせ
時を追い散らせ 眠りの外に追い散らせ

粘る欲望抑えつつも 諦観を尚 掴み切れず
嘆き嘆いて身を焦がす 明日の空は晴れ渡り

星は我身に降り注ぐ 夢と知りつつ請い願う

時を追い散らせ 時を追い散らせ
時を追い散らせ 眠りの外に追い散らせ

追って来る 追って来る 時が私を追い詰める
迫り来る 迫り来る 時が私を押しつぶす

追って来る 追って来る 時が私を殺そうと
迫り来る 迫り来る 時が私をすりつぶす

時を追い散らせ 時を追い散らせ
時を追い散らせ 夢の外に追い散らせ
(時を追い散らせ) 時を追い散らせ
時を追い散らせ 闇の彼方に追い散らせ

春の思い出

詞・曲:とーまん

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち

父親との思い出はあまり無い
父は僕が高校三年の秋この世を去った
僕はすでに父親の歳をこえて
こうやって歌なんかうたってる

父親との数少ない思い出は
家から少し離れた川で魚釣り
僕が小学校3年生のころから
父は入退院を繰り返しやがて倒れた

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち
時に流され 時にあらがい
水の中の魚たち

父親が高校三年で逝かなければ
僕は大学から沖縄に来てたかもしれない
その頃から南の島に住みたかった
もちろん父を怨むつもりはさらさらない

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち
時に流され 時にあらがい
水の中の魚たち

ある日父がふと釣り竿を落とした
それが病魔の予兆だった
春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち

29のカクテル

詞:石垣隆・曲:頭慢

血にまみれた英国の女王が
つぶやいた8番目の言葉は
ジプシーの夢を悪夢にかえて
生きた死体は馬の首かかえうろつきまわる

はじけるねじまわしの上で
かの喜劇王はバッタのようにはねまわり

竹に鞭打たれたモスクワのラバは
75年のフランスで子猫と新婚旅行としゃれこむ
さびた釘を飲み込んで白い貴婦人のお相手をすれば
桃源の貴婦人が嫉妬し

フィレンツェの伯爵様と
世界一周アラウンザワールドの旅にでる

昔ながらの開拓地に100万ドルの摩天楼は似合わない
昔ながらの開拓地に100万ドルの摩天楼は似合わい

「自由キューバ!!」と高らかに叫んだ
80年の貴婦人は麦わら帽子をかぶった

しょっぱい船乗りと寝床で天使のささやきをつげる
しょっぱい船乗りと寝床で天使のささやきをつげる