さしみ屋

詞・曲:頭慢

かみやーき小の並びにある
星野商店の隣にある
看板の無いさしみ屋が
おまえの好きだった店

そんなことを今になって
おまえの友達から教えられた
知らなかったよおまえの事は
全て知ってるつもりだったのに

かみやーき小の並びにある
星野商店の隣にある
看板の無いさしみ屋が
おまえの好きだった店

一緒に居た頃にあたしが
見ていたおまえは所詮
痩せたアタマの中で作った
おまえでしかなかったのかい

かみやーき小の並びにある
星野商店の隣にある
看板の無いさしみ屋が
今日も店を閉ざしてた

遠い所で今頃きっと
おまえはさしみなんかつまんでさ
笑いながら島酒を飲み
楽しくやってることだろうね

かみやーき小の並びにある
星野商店の隣にある
看板の無いさしみ屋が
今日も店を閉ざしてた

たどり着けない店
たどり着けないおまえの心

 

ヤギのお母さん

詞・曲:頭慢

わたしはヤギのお母さん
ヒゲが生えてるけどお母さん
娘は可愛い子ヤギです
娘はわたしに似て器量好し

わたしはヤギのお母さん
南の島に暮らしてます
太陽の光をいっぱい浴びて
娘と2人で暮らしてます

お父さんはもう居ないけど
娘は優しい飼い主さんが大好き

わたしはヤギのお母さん
草をいっぱい食べて太り気味
娘は可愛い子ヤギです
草をいっぱい食べて育ちます

今日は飼い主さんのお家で
なにやらお祝いごとがあるそうな

わたしはヤギのお母さん
娘のことをよろしくね
わたしはヤギのお母さん
後のことは頼みます

等しく雨の降る街で

詞・曲:頭慢

前線の通過は天気予報よりも少し早くて
駅前にはもう雨が降り出した
雨は僕の体にも敷き詰めた石の歩道にも
等しい数だけ水の粒を落としてゆく

僕たちはそれぞれの幸せを願ってはいるが
君の幸せの形を僕に押し付けるのは止めてくれ
今すべての人が賛成の手を挙げたとしても
その考えが決して正しい事とは限らない

しあわせだとか正しさに
ありもしない名前をつけて
名前覚えることで
世の中をわかったような気持になるの

僕に降る雨もあの人の傘に降る雨も
みんなみんな同じ雨

今日の天気の気温と湿度と風向きの強さを
数字や記号で語ることにすっかり慣れてしまってる
五感で感じたことを言葉で確かめているなんて
きっとそこいらの野良猫にも笑われるような話さ

たとえ死ぬほど苦しくて
それでも変わろうとしないのは
同じであることが好きで
究極の数式に恋してるからなの

僕に降る雨も野良猫の上に降る雨も
みんなみんな同じ雨

みんなみんな同じ雨
Singin ih the rain・・・

僕に降る雨もあの人の傘に降る雨も
みんなみんな同じ雨

函館のおやぢ

詞・曲:頭慢

函館のおやぢは俺にカニを売る
やけに熱心に俺にカニを売る

兄ちゃん知ってるかい タラバガニは足が少ないんだぜ
カニは脱皮する直前が 身が詰まっててうまいんだ
ほら、このカニみそ付けて食ってみ カニみそ苦手だってうまいというぜ
松前漬けはどうだい ほっけはどうだい

函館のおやぢは俺にカニを売る
やけに熱心に俺にカニを売る

やけに親切そうにおやぢは語るが
おやぢにしてみればそれが商売
でも確かにカニはうまかった

函館のおやぢは俺に寿司を握る
手慣れた手つきで俺に寿司を握る

兄ちゃん北海道ぢゃさ サバは寿司屋にないんだよ
函館ならイカだろう イカソウメンはどうだい
ウニは季節だよ 生タラバガニもぷりぷりさ
直ぐに登別へ行くのかい あっちは山の上だから気候が違うよ

函館のおやぢは俺に寿司を握る
手慣れた手つきで俺に寿司を握る

やけに親切そうにおやぢは語るが
おやぢにしてみればそれが商売
でも確かに寿司はうまかった

涙のさいたま新都心

詞・曲:頭慢

改札を抜ければ無駄に広いよなコンコース
ビル風吹きすさぶさいたま新都心
あなたと歩いた思い出たどり
夕暮れけやきひろばに来てみても
青いイルミネーションはもう無いの
ああ涙の
さいたま新都心

見上げれば横たわるガメラの甲羅を思わせる
スーパーアリーナの赤い光よ
あの日はあふれるほどの人の群れ
どうやら浜崎あゆみのコンサート
人混みの中にあなたを見失う
ああ涙の
さいたま新都心

コンコースをたどって北与野駅へと向かえば
肉球ぷにゅぷにゅの甘い香りがする
まるでわたしの心みたいに
駅前に広がる無駄な空き地は
スカイツリーに負けたタワーの用地
ああ涙の
さいたま新都心

葉音 - Sound of Leaf -

詞・曲:頭慢

君の欲しいものは本当に望むものなの
その欲望は誰かの手でつくられたものじゃない?
だけどひとはひとの模倣の中でしか生きられない
はるかはるかの昔から繰り返してきた営み

南からの風が海を集めて
北の街で降る雨が去った後で

街の木立の梢に残った一枚の枯葉が
風に震えるその音を聴け心を研ぎ澄まして

だけど君の欲しいものはきっと誰にもわからない
まだ見えないものは可能性の中でしか語れない
君の愛するひとが明日笑顔でいるために
今日を明日に、明日を明後日につなげてゆけたら

山の神はそっと地を震わせて
海の神がわずかに波を寄せる

祈りの声をいつかどこかの誰かに届けるために
鞄の中に何を残すかを選べる力を持て

街の木立の梢に残った一枚の枯葉が
風に震えるその音を聴け心を研ぎ澄まして
今の世界の梢に残った一枚の若葉の
遠い未来のその音を聴け心を研ぎ澄まして

君の愛するひとが明日笑顔でいるために

斑な雨

詞・曲:頭慢

まだら模様の空 暗い空から
弱い雨が落ちる 指の先まで
その指の先まで僕は 満ちてるかな
なんだか僕は身体より 小さくなってるみたい

君が僕を嫌いだと 言ったとき
君は怠惰な毎日に 目盛りを失ってた
敢えて心にも無い事を 言ってみて
感情を揺さぶるだけだと そう思っていたのに

どうやら僕は外に出て
空を見上げて泣いているらしい

まだらの空から今日も雨が降る
光の裏側を僕は探してる
まだらの空から降る雨に打たれても
重力の内側できっと何も変わらない

関係の中からだけ 関係が生まれる
ひそひそと君の顔を見てた 何か予感して
巧妙に危険を避けてた 二人だった
いっそ君の内臓の中に 入ってしまいたい

どうやら僕はひとりらしい
君の笑顔も思い浮かばない

まだらの空から今日も雨が降る
二人だけの言葉を僕は探してる
まだらの空から降る雨に打たれても
閉じた時空の中できっと何も変わらない

どうやら僕は外に出て
空を見上げて泣いているらしい

二人の言葉は二人で作った
つながりの無い二人が一つになれたのに
まだらの空から降る雨に打たれてる
まるで酸素不足の水槽の魚のようだ

竹富島行きフェリー

詞・曲:頭慢

同じ時刻の出発だというから
あなたと同じ船に乗れると思ったのに
あなたが乗ったのは八重山観光フェリー
私は安栄観光

風に吹かれる展望デッキに腰かけた
私の船は少し早く港を出る
あなたの船が桟橋に見える
あなたの「サザンクロス5号」

船は港を出る
海保の巡視船を何隻も横に見ながら
オーシャンブルーの海を走る
ああ竹富島行きフェリー

ウォータージェットのしぶきが吹き上がる
白い航跡が伸びてゆくその先に
あなたの船が追いかけて来る
わたしの[¥「うみかじ2号」を

船が港に着いたら
あなたのフェリーが着くのを待ちぶせて
今日こそ胸の内を打ち明けよう
ああ竹富島行きフェリー

それなのにそれなのに ああなんてこと
あなたの船が私の船を今追い越してゆく

船は港に向かう
あなたの船をあなたを追いかけて
オーシャンブルーの海を走る
ああ竹富島行きフェリー

ハビタブルゾーン

詞・曲:頭慢

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
私が私でなくなってしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
ずっとあなたを好きなままでいたいから

私あんまりあなたに近づいてちゃいけない
首筋のほくろまで数えてしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
笑ってるのかふりをしているのかかわからない

ハビタブルゾーン 人と人とは時間よりも距離が大切で
たとえば私が遠ざかるときがあっても
ハビタブルゾーン ちょうどいい距離に戻ってきたなら
あなたとの関係はまた時間をこえてつながる

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
あなたが燃え尽きてしまわないように
私あんまりあなたにとおざかっちゃいけない
あなたが私を気にしてくれてるように

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
あなたの匂いに慣れすぎないように
私あんまりあなたにとおざかっちゃいけない
私の温度を感じていて欲しいから

ハビタブルゾーン 人と人とは時間よりも距離が大切で
たとえばあなたが遠く旅立ったとしても
ハビタブルゾーン ちょうどいい距離で再び出逢えたなら
10年前の会話はまたつづきから始まる

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
私が私でなくなってしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
ずっとあなたを好きなまでいたいから

失われた時代の片隅で

詞・曲:頭慢

少年の頃、僕は 1999年には死んでしまうと思ってた
結局のところ、その時には 何も起こらなかった世紀末
それから・・何年も 何も起こらなかった時代を過ごした
いや、この四半世紀の間に 大変な目にあった人がいる事もわかってる
自分だって他の人から見たら 何も起きてないなんて思えないかも知れない
だけど自分の中から見た自分は 相変わらずの時代を過ごしてる

少年の頃から なんて世界は変わってないんだろう
白髪交じりの頭を 少し傾けて
失われた時代を 確かめに出かけよう
失われた時代を この目で見に行こう

複雑系の社会の中で どうしてあれはこれだと言い切れる人がいるんだろう
あなたの今と私の今は違うんだよ 共通だという幻想
人と人とが集まって 人でないものになってしまうそんな怖ろしさ
人の心と人の心の真ん中に出来上がったものは 誰の心とも矛盾する何かの心
街ですれ違うひとはただ この時代を受け入れているだけなのか
人の心の怖ろしさは 人が人と関係しなければならない怖ろしさ

こんな時代に生きてる めずらしい経験だなんて
そんな皮肉のひとつでも 言いたくなる
失われた時代を 確かめに出かけよう
失われた時代を この目で見に行こう

失われた時代の片隅で この時代をまるで無いことのように生きるのか
100年前の自分と100年後の自分は 同じ場所にいるのだろうか
何も無い場所に 自分がいること想像してごらん
時間が無い場所に 自分がいること想像してごらん

失われた時代を確かめに出かけよう
失われた時代をこの目で見に行こう

南の島の海開き

詞・曲:頭慢

幼い頃に教科書で読んだ話さ
足が悪くて外に出らんないおばあちゃんのために
お日様の光をエプロンにつつんで届ける
やさしいやさしい かこちゃんの話

南の島の冬は雨がつづいて
あなたの心もちょっと沈みがち

太陽の光をあなたの笑顔を
エプロンにつつんで届けてほしい
海の碧さと一緒に もうすぐ
南の島は今年も海開き

少年の頃に何かで読んだ話さ
南極の氷原を一人で探検していて
方向を間違えて冬になってしまって
穴倉にこもって春を待つという話

南の島の冬は朝陽が昇らない
あなたは少し疲れてるみたい

太陽の光をあなたの笑顔で
北風を追いやって届けてほしい
空の青さと一緒に もうすぐ
南の島は今年も海開き

南の島の長い雨季が終わって
強い陽射しがまたもどってくれば
のど元過ぎれば寒さを忘れるね
南の島に今年も海開き