部屋 ~メゾンココナッツ201~

作詞・作曲:頭慢

荷物を全部運び去った部屋に
最後に一人で来てみた
窓から射し込む光を遮るものは無い
がらんどうの床にごろんと寝転んだ

あなたとこの場所で暮らした証は
原状回復のもと綺麗に消し去った

さよならメゾンココナッツ
だからあなたとここで暮らし始めた時に
二人もう一度戻ればいい
だからもう一度さよならメゾンココナッツ

クルマの通る音が外にきこえて
その音が部屋いっぱいに響きわたる 
要らないものたくさん捨て去った
二人で過ごしたあの日々さえ

あなたとこの場所で暮らした痕跡を
見つけては無かったことにして出て行く

さよならメゾンココナッツ
子供の頃のクラス替えのように
新しい暮らしが明日から始まる
だからもう一度さよならメゾンココナッツ

星のミーム

作詞・作曲:頭慢

手のひらを砂浜に押し当てて付いた砂粒に
星の砂 幾つ混ざっているかな
天高く母星が無数に産み落とした子たち
星の砂 海の魔物に食べられた死屍

星のミームが地球の生き物を作ってから
細胞が細胞を繰り返しつくって百億年

僕たちの暮らしにはたくさんの便利があるけれど
みんな昔死んでしまった人の知恵

太陽を浴びながら誰もいない海辺で汗をかく
星の砂その汗が星の形になればいいのに

僕のミームはどれだけ伝わってゆくだろう
記憶から記憶へと繰り返し伝えて幾億年

手のひらを砂浜に押し当てて付いた砂粒に
星の砂 幾つ混ざっているかな

斑な雨

詞・曲:頭慢

まだら模様の空 暗い空から
弱い雨が落ちる 指の先まで
その指の先まで僕は 満ちてるかな
なんだか僕は身体より 小さくなってるみたい

君が僕を嫌いだと 言ったとき
君は怠惰な毎日に 目盛りを失ってた
敢えて心にも無い事を 言ってみて
感情を揺さぶるだけだと そう思っていたのに

どうやら僕は外に出て
空を見上げて泣いているらしい

まだらの空から今日も雨が降る
光の裏側を僕は探してる
まだらの空から降る雨に打たれても
重力の内側できっと何も変わらない

関係の中からだけ 関係が生まれる
ひそひそと君の顔を見てた 何か予感して
巧妙に危険を避けてた 二人だった
いっそ君の内臓の中に 入ってしまいたい

どうやら僕はひとりらしい
君の笑顔も思い浮かばない

まだらの空から今日も雨が降る
二人だけの言葉を僕は探してる
まだらの空から降る雨に打たれても
閉じた時空の中できっと何も変わらない

どうやら僕は外に出て
空を見上げて泣いているらしい

二人の言葉は二人で作った
つながりの無い二人が一つになれたのに
まだらの空から降る雨に打たれてる
まるで酸素不足の水槽の魚のようだ

竹富島行きフェリー

詞・曲:頭慢

同じ時刻の出発だというから
あなたと同じ船に乗れると思ったのに
あなたが乗ったのは八重山観光フェリー
私は安栄観光

風に吹かれる展望デッキに腰かけた
私の船は少し早く港を出る
あなたの船が桟橋に見える
あなたの「サザンクロス5号」

船は港を出る
海保の巡視船を何隻も横に見ながら
オーシャンブルーの海を走る
ああ竹富島行きフェリー

ウォータージェットのしぶきが吹き上がる
白い航跡が伸びてゆくその先に
あなたの船が追いかけて来る
わたしの[¥「うみかじ2号」を

船が港に着いたら
あなたのフェリーが着くのを待ちぶせて
今日こそ胸の内を打ち明けよう
ああ竹富島行きフェリー

それなのにそれなのに ああなんてこと
あなたの船が私の船を今追い越してゆく

船は港に向かう
あなたの船をあなたを追いかけて
オーシャンブルーの海を走る
ああ竹富島行きフェリー

ハビタブルゾーン

詞・曲:頭慢

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
私が私でなくなってしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
ずっとあなたを好きなままでいたいから

私あんまりあなたに近づいてちゃいけない
首筋のほくろまで数えてしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
笑ってるのかふりをしているのかかわからない

ハビタブルゾーン 人と人とは時間よりも距離が大切で
たとえば私が遠ざかるときがあっても
ハビタブルゾーン ちょうどいい距離に戻ってきたなら
あなたとの関係はまた時間をこえてつながる

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
あなたが燃え尽きてしまわないように
私あんまりあなたにとおざかっちゃいけない
あなたが私を気にしてくれてるように

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
あなたの匂いに慣れすぎないように
私あんまりあなたにとおざかっちゃいけない
私の温度を感じていて欲しいから

ハビタブルゾーン 人と人とは時間よりも距離が大切で
たとえばあなたが遠く旅立ったとしても
ハビタブルゾーン ちょうどいい距離で再び出逢えたなら
10年前の会話はまたつづきから始まる

私あんまりあなたにちかづいてちゃいけない
私が私でなくなってしまうから
私あんまりあなたに遠ざかっちゃいけない
ずっとあなたを好きなまでいたいから