少年少女

詞・曲:頭慢

あなたの中の少女と わたしの中の少年が
ふたたび初恋に落ちる そんなことがあってもいい

登れそうな崖を見つければつい
そこを登りたくなる
それは子供の頃の恐れを知らない
冒険者のように

日々のなりわいの中ではつい
選ぶのはいつもの道
それは立場やしがらみの社会で
仕方のないことだが

あなたの中の少女と わたしの中の少年が
ふたたび初恋に落ちる そんなことがあってもいい

少年はとても老い易い
自ら選ぶ過ち
冒険を失って頭の中にある泉の
水を閉じてしまった

少女のような気持ちでいつもとは
違うシャツを買う
小さな冒険で少しのときめきで
今日は少し子供に還える

あなたの中の少女と わたしの中の少年が
ふたたび初恋に落ちる そんなことがあってもいい

いくつになっても少女で いくつになっても少年で
年月を置き去りにして 季節はまた甦る

あなたの中の少女と わたしの中の少年が
ふたたび初恋に落ちる そんなことがあってもいい

サイコロゲーム

詞・曲:頭慢

君が今まで生きてきた歴史に
要らなかったものなんてあるの
今の君が生きている一瞬に
レンズのように光があつまる

ジャングルに住んでた人類の祖先が
サバンナに出て何万年後かに君が生まれ今がある

次のコマに進むためにサイコロ転がして
進んだ未来に何があるか誰もわからない
わかんないからと全ての可能性に備えるんじゃなくて
来た球を打つ 自分を縛るこだわりを捨てて

明日の朝に海を見に行くもいい
一人きりのソーシャルインタレスト
平凡なままの人になりたかったかい
特別な目標を持っていたかったかい

愛した人と交わしたアイコンタクト
当事者と傍観者はクルクルと交代してゆくよ

サイコロを振る自由を自由だと思うなら
与えられた数字をなぜ恨むのか
この世に生まれこんな時代にいることを受け入れて
明日には変わってゆく自分と世界を認め

次のコマに進むためにサイコロ転がして
でもルールが明日には変わっているゲーム
どんなルールも楽しめる身軽さをいつも持って
どんなルールも不条理も受け止めるようなゲーム

春を待つ季節

詞・曲:頭慢

青い空に雲が広がって 太陽を覆い隠す
今日は晴れの日 曇りの日
あなたと過ごす日々の暮らしは こんなに幸せなのに
わたしはあなたの 何ですか

ふとしたあなたの言葉で傷ついて
確かなものが欲しくなることもあるけど

きっと あいまいなままでいい
あいまいなままでいい
カオスなままでかまわない
きっと あいまいなままでいい
あいまいなままでいい
今はじっと春を待つ季節だから

海の波は不規則なリズム どこからどこまで海と
砂浜に線を 引けはしない
あなたと抱きあえばこんなにも あなたを感じられるのに
二人を語れる 言葉はない

ひとはいつでもそこに線を引いては
それに名前をつけてきた歴史だけど

きっと あいまいなままでいい
あいまいなままでいい
カオスな自然に生きてる
きっと あいまいなままでいい
あいまいなままでいい
ひとはずっと春を待つ生き物だから

いつから春ですか
いつまで冬ですか
境目の無い季節

年末年始のオキテ

詞・曲:頭慢

こんな真冬の日に一年が始まるなんて
誰が決めたんだろうなんて僕が言うと
そんなことに疑問を持たずあるがままに受け入れて
暮らしてればいいのよと おまえが言う

クリスマスをむかえて
ツリーをかざって
宝くじを買って
紅白歌合戦を見て
年越しそばを食べて
除夜の鐘を聴いて

もういくつねると もういくつねると
もういくつねると もういくつねると

世の中や自分が年末年始をむかえても
なにがかわるでもないじゃないと僕がいうと
ひたすら続いていく時間に句読点を打つこと
それが大切なのよと おまえが言う

おめでとうと言って
初詣をして
おみくじをひいて
初日の出を見て
お雑煮を食べて
おせち料理をつまんで

もういくつねると もういくつねると
もういくつねると もういくつねると

お前と何回目の年末年始を迎えただろう
これからも永遠の年末年始が迎えられるように
繰り返す時間は永遠のサークルゲーム
循環する時間と右肩上がりの歴史との戦い
戦いに巻き込まれないように
静かに静かに暮らしていこう

やぎ座


詞・曲:頭慢

おじさまとあそぶのは楽しくて
時間をわすれてはしゃいでた
けれどそれを見ていたおかあさまの哀しそうな顔に
いつか気がついてしまったの

おとうさまのことを
前におかあさまにきいたことがあるの
でもおかあさまは首を振って教えてくれなかった
それ以来聞いちゃいけないことだと思ったの

その夜おかあさまはわたしに言ったの
「おかあさまがいなくても
あなたはしっかり生きなさい」えっおかあさまは
いつもいっしょじゃないの

おかあさまがいなくなって
わたしはひとりぼっちになった
なんだかおじさまと遊ぶのも
いままでのように楽しくなくなったの

ある日うちに来たよそのひとが話してた
こんなやぎがたくさんいるところがあるって
わたしはそのとき気が付いたの「わたしはヤギ」
わたしはヤギなんだと

わたしはここを出ようと思います
やぎがたくさんいるところへ行こうと思います
ひとりぼっちでいるのはもういやだから
そこにおかあさまもいるかも知れないから

真夜中に柵をこえました
知らない場所をどこまでも歩いていきました
だけども歩いていくうちに段々疲れてきて
もう私は歩けないのです

わたしは地面にころがって
そのときはじめて夜空に気が付いた
初めて見る夜の空に光るものがたくさん
あまり明るくない星がわたしなんだと思いました