動物たちの武器(とくに猫)

詞・曲:頭慢

ライオンは生きるために爪と牙を磨く
コブラは生きるために毒を貯めている
ガゼルは生きるために素早く逃げる足がある
ハコガメは生きるために硬い甲羅に身を隠す

僕たちは生きるために どんな武器を持ってるだろう
信じるもののために祈ること 科学文明を極めること
未来を予測すること 過去を綴り伝えること
誰かを愛すること 誰かを殺すこと

ふと傍で体を伸ばして寝ている猫に
お前の武器はなんだと聞いてみたら
猫は片目を開けてあくびをしながら
ニャアと一言鳴いた

飼い猫は生きるために爪と牙を隠した
飼い猫は生きるために素早く動かなくなった
でも時々野生に帰り何かを追いかけるけど
飼い猫は生きるために飼い主に愛される

僕たちは生きるために どんな武器を持ってるだろう
愛するもののために身を投げうつこと 宇宙の始まりと終わりを知ること
自分が何者かを考えること 自分が何者でも無いとわかること
何かを愛すること 何かを失うこと

ふと傍で体を伸ばして寝ている猫に
お前の武器はなんだと聞いてみたら
猫はこちらにすり寄ってきて
チュールが欲しいと鳴いた

この海をあなたに

詞・曲:頭慢

最近仕事帰りには少し遠回りして
海に行くんだ
海辺を歩くたび新しい何か発見があって
毎日が新鮮な暮らしだよ

新しい友だちもたくさん出来てわたし
きっと顔つきだって変わったと思うんだ
ふるさとに残してきたひとたち
そしてあなたのこと・・思い出すけど

今透き通ったコバルトブルーの海を見ても
大きな雲がゆっくり空に動くのを見ても
珊瑚の海に色とりどりの魚が泳ぐのを見ても

幾重にも重なり響く波の音を聴いても
風の中に微かな潮の香りを感じても
みんなあなたに教えたいと思っているんだよ

あのねあの頃はいつもあなたに教えてもらう
ばかりの日々だった
でもね今はきっとあなたが見てる以上の世界が
わたし見えるようになったんだよ

新しい言葉もたくさん覚えてわたし
きっと喋り方だって変わったと思うんだ
ふるさとに残してきたひとたち
そしてあなたのこと・・ほんと言うとね

今波打ち際サイダーみたいな波を見ても
コケティッシュなヤドカリのフォークダンスを見ても
大きな葉っぱの南の草木が揺れるのを見ても

背中の木々から色んな鳥の声を聞いても
さらさらした宝石のような砂の感触も
みんなあなたに教えたいと思っているんだよ

烏合の囚人

詞・曲:頭慢

あなたの黒いドレスを
まるでカラスのようだなんて言ったら
いつものようにあきれるか
きっと怪訝な顔をするだろうね

そういえば烏合の衆
なんて言葉があるけれどどういう意味か
知ってるかいなんて言ったら
やっぱり怪訝な顔をするだろうね

人は群れて生きる生き物で
気が付いたら僕は人に生まれてて
群れの中に様々な人が居て
気が付いたら僕は僕に生まれてた

でも今日はパーティを抜け出して
君と二人最小限の群れをつくろう
少し誇らしげな足取りで
背中越しに囚人たちの声を聴いて

海辺のサーファーたちを
まるでカラスのようだと歌があった
そんなたとえをすることで
なんだか滑稽な様子に思えてしまう

カラスは頭がよくて
言葉がわかるなんて誰かに聞いた
烏合の衆の中の人は
頭のいい人たちなんだろうかね

人は群れて生きる生き物で
その集団に秩序が必要で
群れの中の様々な人たちが
それぞれを大切に想えたらいいけれど

でも今日はパーティを抜け出して
君と二人最小限の群れをつくろう
少し誇らしげな足取りで
背中越しに囚人たちの声を聴いて

あなたとの距離(ディスタンス)

詞・曲:頭慢

そばにおいでと言ってくれないの
あなたとの距離は中途半端なまま
誰かの言葉を守るというの
みんなそうしてるからというの

抱き合う事もできないで
二人の愛が冷めてゆく
幻想の世界の片隅で
強い風に舞う二羽の小鳥のよう

不安をいっぱい抱えていても
それに寄り添うのもいけないの
二人の距離が二人別々の
時を刻み始める
触れ合う事もできないで
二人の愛が消えてゆく
幻想の世界の片隅で
迷子になった過去と将来

それが正しいというのならば
わたしは仕方がないと諦める
愛していることの証として
わたしはただ諦める

今二人の距離が二人別々の
時を刻み始める

海辺を歩いて

詞・曲:頭慢

海岸を二人歩いてた
潮風の香りと砂を噛む靴の音
季節外れの海には誰もいなくて
どこまでも二人海辺を歩いてた

二人ではしゃいだ頃もあったよね
遠い未来の景色さえそこにあった
何処からか聞こえるラジオの音に
あなたは少し顔を硬らせた

たくさんの人が語るたくさんの未来に
あなたは惑わされて迷路の中
僕はといえばただひたすらに
傘も持たずに雨を待っていた

海岸をひとり歩いてる
あの日から遠い場所の珊瑚の海は
二人で歩いてた海とつながってる
僕がだけがまだ海辺を歩いてる

海の水をコップに汲み上げて
そこに何が含まれてるか確かめてみようか
そんな現実に夢中になれば
信じるものも見つかったかも知れない

たくさんの人が語るたくさんの未来は
通り過ぎた後に確かめればいいのに
記憶も霞んで覚えているのは
取り留めない昔話をしたこと

海岸をひとり歩いてる
あの日から遠い場所の珊瑚の海は
二人で歩いてた海とつながってる
僕がだけがまだ海辺を歩いてる