年末年始のオキテ

詞・曲:頭慢

こんな真冬の日に一年が始まるなんて
誰が決めたんだろうなんて僕が言うと
そんなことに疑問を持たずあるがままに受け入れて
暮らしてればいいのよと おまえが言う

クリスマスをむかえて
ツリーをかざって
宝くじを買って
紅白歌合戦を見て
年越しそばを食べて
除夜の鐘を聴いて

もういくつねると もういくつねると
もういくつねると もういくつねると

世の中や自分が年末年始をむかえても
なにがかわるでもないじゃないと僕がいうと
ひたすら続いていく時間に句読点を打つこと
それが大切なのよと おまえが言う

おめでとうと言って
初詣をして
おみくじをひいて
初日の出を見て
お雑煮を食べて
おせち料理をつまんで

もういくつねると もういくつねると
もういくつねると もういくつねると

お前と何回目の年末年始を迎えただろう
これからも永遠の年末年始が迎えられるように
繰り返す時間は永遠のサークルゲーム
循環する時間と右肩上がりの歴史との戦い
戦いに巻き込まれないように
静かに静かに暮らしていこう

やぎ座


詞・曲:頭慢

おじさまとあそぶのは楽しくて
時間をわすれてはしゃいでた
けれどそれを見ていたおかあさまの哀しそうな顔に
いつか気がついてしまったの

おとうさまのことを
前におかあさまにきいたことがあるの
でもおかあさまは首を振って教えてくれなかった
それ以来聞いちゃいけないことだと思ったの

その夜おかあさまはわたしに言ったの
「おかあさまがいなくても
あなたはしっかり生きなさい」えっおかあさまは
いつもいっしょじゃないの

おかあさまがいなくなって
わたしはひとりぼっちになった
なんだかおじさまと遊ぶのも
いままでのように楽しくなくなったの

ある日うちに来たよそのひとが話してた
こんなやぎがたくさんいるところがあるって
わたしはそのとき気が付いたの「わたしはヤギ」
わたしはヤギなんだと

わたしはここを出ようと思います
やぎがたくさんいるところへ行こうと思います
ひとりぼっちでいるのはもういやだから
そこにおかあさまもいるかも知れないから

真夜中に柵をこえました
知らない場所をどこまでも歩いていきました
だけども歩いていくうちに段々疲れてきて
もう私は歩けないのです

わたしは地面にころがって
そのときはじめて夜空に気が付いた
初めて見る夜の空に光るものがたくさん
あまり明るくない星がわたしなんだと思いました

名前をもらった


詞・曲:頭慢

子供の頃と言えば教室の隅っこの席で
消しゴムかすまるめてるような子供だった

国語の成績が少し良くて運動はぜんぜんだめで
バスに乗ればすぐ乗り物酔いするような子供だった

そのとき僕は名前をもらった
そのとき僕は名前をもらった
そして僕は親につけられた名前だけが名前じゃないと知った

大学卒業したばかりのその女の先生は
授業で外にバッタ採りに連れってってくれた

放課後僕は一人でその先生の仕事を
じゃましながらいつまでも残って遊んでた

そのとき僕は名前をもらった
そのとき僕は名前をもらった
そして僕は新しい名前がとてもとても気に入ってしまったんだよ

やがて子供の時代を過ぎ社会の波にさらされて
でもそのときもらった名前は忘れなかった

様々な集団や立場で僕は色んな名前を持つ
それを使い分ければいいと学んだあの時

そのとき僕は名前をもらった
そのとき僕は名前をもらった
そして僕はいろんな名前を持っていろんな場所で生きていった

歳をとって違う場所で暮らすようになった今も
色んな名前の中にあの頃の名前は忘れないよ

でも僕が死んでしまえば誰かの記憶の中に
その名前が少しだけ残ってくれたらいいさ

そのとき僕は名前をもらった
そのとき僕は名前をもらった
そしてそのときもらった名前はいつまでも記念碑のように

終らない夏の終り

詞・曲:頭慢

風の向きが変わって
南の島にも秋が来たことを知る
いつまでも続くと思っていた夏の終り

テリハボクの葉陰で
北の街で生まれ育ったあなたと
いつのまにか心よりそっていた夏の初め

ひと夏の恋なんて もう若くもない男と女
将来のこともあぶくのような夢を追えもしない

それでも俺がはぐらかすようなこと言えば
あなたは泣いてしまうかな
二人とも青春の季節を疾うに過ぎても
夏の終わりは終わらない

アダンの茂みをぬけて
着いたビーチに置きざらしのカヤック
いつまでも続くと思っていた夏の終り

少しぶっきらぼうに
返事を返したことを後悔して
いつのまにか気になってしまってた夏の初め

夏休みのドリルは もう子供じゃない男と女
バナナシェイクの上に描く言葉を選べない

それでも俺がつないだ手を握り返さなければ
あなたは焦りだすのかな
二人とも青春の季節を疾うに過ぎても
夏の終わりは終わらない

右脳と左脳のダンス

詞・曲:頭慢

男と女 石器時代に刻まれた遺伝子同士
あなたの右手と私の左手と・・

あなたは遠くから私の白いシャツに気がついてた
でもわたしはすれ違うときときに初めてあなたに気づいた
君を遠くからずっとずっとずっと見ていたんだよ
でも近づいたら歩くことに夢中で通り過ぎてしまった

男と女 石器時代に刻まれた遺伝子同士
あなたの右手と私の左手と
右脳と左脳が手と手と手と手を取り合って
くるくるダンスを踊ろうよ

あなたは遠くをいつもいつもいつも見ていたから
そばにいる私の憂鬱に気づかなかった
君は例えばテーブルクロスのほつれなんか気にして
遠い将来の暮らしの事なんか気にかけなかった

男と女 石器時代に刻まれた遺伝子同士
君の両手と僕の左手と
右脳と左脳が手と手と手と手を取り合って
くるくるダンスを踊ろうよ

おしゃべりな私は話しながら考えるから
二人の関係は浮かんでは消える
君の話を聞き流しながら
僕はひとつづつ示すべき結論を考えてた
いい雰囲気を作ったら
美味しいものを食べて
火を焚いて 花を贈って
踊ろうよ チョコレートとシャンパン

男と女 石器時代に刻まれた遺伝子同士
あなたの右手と私の左手と
右脳と左脳が手と手と手と手を取り合って
くるくるダンスを踊ろうよ