モズク海岸

詞・曲:頭慢

島ぬノースコーストまで一走り
モズク海岸へ

名前さえも知らない
君は行きずりの旅人
でも君が目を輝かせて
語った海を見たいと思ったんだ

島ぬノースコーストまで一走り
君が教えてくれた場所へ
まぶしい朝日で顔を洗って
モズク海岸へ

理由をつけて暮らしてる日々
それが窮屈に思えたとき
君のことを思い出した
それだけで意味もなく車を走らせる

島ぬノースコーストまで一走り
君が教えてくれた場所へ
まぶしい朝日で顔を洗って
モズク海岸へ

海についたら波の音を聞いて
意味もなくずっとそこに居よう
海から吹く風にまかせて
いつまでもそこに居よう

下りのカーブで少しだけ
車のスピードをゆるめて
もうすぐノースショアが見えてくる
まるでドライバーズハイ

島ぬノースコーストまで一走り
君が教えてくれた場所へ
まぶしい朝日で顔を洗って
モズク海岸へ

花は誰がため

詞・曲:頭慢

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず

あなたも私も偶然に
この世界に今生きてる
水や空気が与えられ
バランスの良い重力とエネルギーと

都合の良すぎる物理法則は
まるで人が生きてるためにあるけど

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず
太陽は人のため 暖かからず
鳥は人のため 歌わず

あなたと私がここで出会って
この世界で過ごす時間は
100億年の宇宙の歴史で
まるで奇跡のような時間だけれど

花は人のため 美しからず
海は人のため 豊かならず
太陽は人のため 暖かからず
鳥は人のため 歌わず

だけど今海に来て
波と鳥の声を聞いて
空と雲の下で風に吹かれて
自分の意識が自然の中に溶け込んだ時

花は私のため 美しく
海は私のため 豊かで
太陽は私のため 暖かく
鳥は私のため 歌う

 

朝、海に来て海を見る

詞・曲:頭慢

忘れ物をしたら 取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのことです

ここは圏外 誰もいない海に来て
海を見てるひとり名前のついた街を離れ
ひとはいつか 忘れ物をしたことも忘れ
そこにあったものだけでプリコラージュして生きる

それでも忘れものをした思いは消えない
だからいつか取りに戻ろう

忘れものをしたら取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

昔のこと 初めて海を見た
その人は躊躇なく靴を脱ぎ裸足になったね
風はない だけど形をかえる雲
形のないものになる青い空の向こうで

戻り道の途中で命尽きたとしても
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

全ての人が死滅したときうっかりと
生き残ってしまったときのシミュレーション

忘れものをしたら取りに戻ればいい
ただそれだけのこと それだけのこと
特別じゃない それだけのことです

春の思い出

詞・曲:とーまん

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち

父親との思い出はあまり無い
父は僕が高校三年の秋この世を去った
僕はすでに父親の歳をこえて
こうやって歌なんかうたってる

父親との数少ない思い出は
家から少し離れた川で魚釣り
僕が小学校3年生のころから
父は入退院を繰り返しやがて倒れた

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち
時に流され 時にあらがい
水の中の魚たち

父親が高校三年で逝かなければ
僕は大学から沖縄に来てたかもしれない
その頃から南の島に住みたかった
もちろん父を怨むつもりはさらさらない

春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち
時に流され 時にあらがい
水の中の魚たち

ある日父がふと釣り竿を落とした
それが病魔の予兆だった
春の陽射し 川の流れ
水の中の魚たち

南の島に雪が降る

詞・曲:頭慢

窓ガラスの向こうに冬の雨
ぼんやり遠くを見てる
赤瓦の下月桃の葉に
雫が落ちてゆれてる

どうしてだろうふいに昔の
記憶がよみがえる
それは私が生まれ育った
山並みに囲まれた町

あなたと初めて 手と手つないで
歩いた初市の日の
帰り道に降り始めた雪が
記憶の中でゆれてる

思い出はもう幻になる
だんだん幻に
窓の向こうの景色もいつか
幻のように見えてくる

今はこの島に暮らして
自分の居場所も見つけたけど
変わらないもの

窓の向こうは幻になる
幻を重ねて
幻の中あの人とまた
めぐり合いたい
幻の中南の島に
南の島に雪が降る