等しく雨の降る街で

詞・曲:頭慢

前線の通過は天気予報よりも少し早くて
駅前にはもう雨が降り出した
雨は僕の体にも敷き詰めた石の歩道にも
等しい数だけ水の粒を落としてゆく

僕たちはそれぞれの幸せを願ってはいるが
君の幸せの形を僕に押し付けるのは止めてくれ
今すべての人が賛成の手を挙げたとしても
その考えが決して正しい事とは限らない

しあわせだとか正しさに
ありもしない名前をつけて
名前覚えることで
世の中をわかったような気持になるの

僕に降る雨もあの人の傘に降る雨も
みんなみんな同じ雨

今日の天気の気温と湿度と風向きの強さを
数字や記号で語ることにすっかり慣れてしまってる
五感で感じたことを言葉で確かめているなんて
きっとそこいらの野良猫にも笑われるような話さ

たとえ死ぬほど苦しくて
それでも変わろうとしないのは
同じであることが好きで
究極の数式に恋してるからなの

僕に降る雨も野良猫の上に降る雨も
みんなみんな同じ雨

みんなみんな同じ雨
Singin ih the rain・・・

僕に降る雨もあの人の傘に降る雨も
みんなみんな同じ雨

函館のおやぢ

詞・曲:頭慢

函館のおやぢは俺にカニを売る
やけに熱心に俺にカニを売る

兄ちゃん知ってるかい タラバガニは足が少ないんだぜ
カニは脱皮する直前が 身が詰まっててうまいんだ
ほら、このカニみそ付けて食ってみ カニみそ苦手だってうまいというぜ
松前漬けはどうだい ほっけはどうだい

函館のおやぢは俺にカニを売る
やけに熱心に俺にカニを売る

やけに親切そうにおやぢは語るが
おやぢにしてみればそれが商売
でも確かにカニはうまかった

函館のおやぢは俺に寿司を握る
手慣れた手つきで俺に寿司を握る

兄ちゃん北海道ぢゃさ サバは寿司屋にないんだよ
函館ならイカだろう イカソウメンはどうだい
ウニは季節だよ 生タラバガニもぷりぷりさ
直ぐに登別へ行くのかい あっちは山の上だから気候が違うよ

函館のおやぢは俺に寿司を握る
手慣れた手つきで俺に寿司を握る

やけに親切そうにおやぢは語るが
おやぢにしてみればそれが商売
でも確かに寿司はうまかった

あなたを追って蔵前

作詞・曲:頭慢

人混みの街であなたに似たひとを見かけた気がしたから
秋葉原で折り返して浅草橋駅に降り立った
終わった恋の未練を占って
駅前宝クジを連番3枚
あなたを追って江戸通りを歩いてゆけば
そこは蔵前
あなたを追って蔵前

あなたの行方はこちらの方だと犬猫なみの私の嗅覚
蔵前一丁目交差点折れて鳥越神社の方へ
おみくじ引こうと思ったけれど
社務所はつめたく閉ざされていたわ
あなたを探して蔵前橋通り引き返せば
ここは蔵前
あなたを追って蔵前

あなたに一目会いたいなんて歌の歌詞にもよくあるけれど
本当は会っても何にもならないかえって修羅場になるだけ
あせる心が落ち着いてきたから
一人お酒でも飲みたい気分
見つけた看板気持ちにぴったりスローライフ
ここは蔵前
あなたを追って蔵前

扉を開けば
あなたが・・なんてまだ期待してる

歌にならないルサンチマン

詞・曲:頭慢

「それは誰かのせいだ」誰かがつぶやいて
それを誰かがいいねと言った
それで満たされたようなちっぽけな感情が
狭くて広い世界を駆け巡る

昔々僕らがサルのようだった頃 虎に襲われて寒さに凍えた
そんな弱い自分の周りの すべてを心から恨んだ

僕らはもしかすると何かを恨むことに
最適化された悲しい生き物なのかもしれない
その悲しさを歌にして笑えたらいいのに
・・・いいのに

「それは誰かのせいだ」誰かがこしらえた
陰謀論を誰かがお気に入り
そんな知ったかぶりの我儘な宗教が
薄っぺらで深い世界を駆け巡る

昔々僕らがネズミのようだったころ 恐竜が歩く昼間は穴倉に隠れてた
そっと夜の闇にしか生きられないことを心から恨んだ

僕らはもしかすると何かを恨むことに
最適化された悲しい生き物なのかもしれない
その悲しさを歌にして笑えたらいいのに
・・・いいのに

昔々僕らがピカイアだったころにはアノマロカリスやオパビニアに襲われた
昔々僕らがバクテリアみたいだったころ 爆発する火山や硫化水素の海に囲まれて
そんな星に生きなくちゃいけない ことを心から恨んだ

僕らはもしかすると何かを恨むことに
最適化された悲しい生き物なのかもしれない
その悲しさを歌にして笑えたらいいのに
・・・いいのに

神様は選べない

詞・曲:頭慢

17歳の君が両手に頬を預けて
「私たちの将来はどうなっちゃうのかな」って言う
17歳の君は薄日のあたる部屋で
後ろ姿の肩は少し震えている気がした

「だってテレビやネットでは暗いニュースばかり流れて
異常気象や災害がまるで明日にも訪れるかのよう」

僕は黙ってただ君のことを
抱きしめる そしてこう言うよ
「ダイジョウブ 」そして君にかけられた
呪いが早く解けるように祈るよ

17歳の君が心の奥底にある
神様をみつけてそれを信じてくれればと思う
思い出してごらん昨日の帰り道で
立ち寄った神社の御神籤は大吉だったじゃない

「だってテレビやネットでは不安を煽り立てるばかり
格差社会や争いがまるで目の前に迫ってるかのよう」

僕は黙ってただ君のことを
抱きしめる そしてこう言うよ
「ダイジョウブ 」そして君の未来は
想像より無限にある事を伝えたい

17歳の君を陥れようとしてる
異教徒たちの欲望を僕は許さない
昨日届いたニュースさ はるか宇宙の彼方
冥王星に人工衛星が近づいたってね